「体の動かし方がぎこちない」「転びやすい」「姿勢が安定しない」といったお子さまの様子に気づいたことはありませんか?児童発達支援では、こうした課題に対して「運動療育」が行われています。今回は、児童発達支援で提供されている運動療育の内容や目的について、わかりやすくご紹介します。
児童発達支援における運動療育の目的
運動療育は、発達に不安のある子どもたちが楽しく体を動かしながら、基本的な運動能力や社会性を身につける支援方法です。専門のスタッフが子どもの個性に寄り添いながら、段階的にプログラムを進めていきます。
運動療育が必要とされる理由
運動療育が注目されている理由の一つに、現代の子どもたちに多く見られる「身体感覚の未発達」があります。たとえば以下のような課題があります。
・体のバランスがとりにくい
・指先をうまく使えない
・姿勢が安定しない
・じっと座っていられない
これらは「体幹の弱さ」や「感覚のアンバランス」などが原因となっており、放っておくと学習や社会生活にも影響することがあります。
運動療育の主な目的
運動療育では、次のような目的で支援が行われます。
・基礎的な運動能力(走る・跳ぶ・バランスなど)の向上
・感覚統合(見る・聞く・触るなどの感覚の連携)の促進
・集中力や自己コントロール力の育成
・集団行動やルールを守る力の習得
こうした力を育てることで、日常生活や就学に向けてスムーズな成長を促します。
児童発達支援で行われる具体的な運動療育の内容
では、児童発達支援の現場ではどのような運動療育が行われているのでしょうか。子どもが楽しみながら取り組める工夫がたくさん詰まっています。
基礎運動を取り入れた遊び
運動療育の基本は、楽しさを通じて体を動かすことです。以下のような遊びを取り入れて、自然な形で運動能力を育てていきます。
・平均台やトランポリンでバランス感覚を育てる
・ボール遊びで手先と目の協調動作を養う
・ケンケンパやジャンプ遊びで下半身の強化
子どもが「できた!」と感じられる成功体験が、自信にもつながります。
感覚統合を意識した運動
運動療育では、単に筋力をつけるだけでなく「感覚統合」を目的とした運動も行います。たとえば次のような活動があります。
・ブランコやハンモックで前庭感覚(バランス感覚)を育てる
・指先を使った運動で触覚や巧緻性を鍛える
・色や形を見分けながら体を動かす視覚トレーニング
これにより、日常生活で必要な「見て・聞いて・動く」連携がスムーズになります。
集団での活動による社会性の向上
運動療育は個別活動だけでなく、集団での関わりも重視しています。以下のような要素が含まれます。
・順番を守る練習
・協力してゲームを行う
・ルールを理解して行動する
こうした活動を通じて、子どもたちは社会性や他者との関わり方を学んでいきます。
家庭でも取り入れられる運動療育のポイント
児童発達支援での運動療育は、家庭との連携によってより効果を高めることができます。家でもできる簡単な工夫を取り入れてみましょう。
日常の中に「遊びの運動」を取り入れる
・公園での滑り台やブランコでバランス感覚を育てる
・お手伝いで物を運ぶ、拭くなどの動作で筋力アップ
・親子でダンスや体操を楽しみながら運動
無理なく続けられる環境づくりが大切です。
できたことをしっかり褒める
運動療育では「成功体験」がとても重要です。家でも小さな成長を見逃さず、「よく頑張ったね」と言葉で認めてあげましょう。それが次のチャレンジにつながります。
まとめ
児童発達支援における運動療育は、体を動かす楽しさを通じて、子どもが本来持っている力を引き出す支援です。バランス感覚や感覚統合、社会性など、将来の生活に役立つ力が自然と育まれます。日々の成長を見守りながら、子ども一人ひとりのペースで支えていきましょう。